2018年、自動車の新燃費表示として従来のJC08モードから『WLTCモード』への切り替えが開始されます。
この新しい燃費表示『WLTCモード』とはどんなものなのか?従来の燃費表示との違いや特徴、切り替わる時期などをご紹介していきます。
目次
新・国際基準『WLTP』と新燃費表示『WLTCモード』
これまで、自動車のカタログ燃費を算出する試験法は国ごとに異なっていました。
そのために自動車メーカーの市販車カタログに掲載される数値は実燃費とは乖離があるケースが多いと以前からずっと指摘を受けていた問題点でもありました。
このカタログ燃費を算出する試験法が今後、新・国際基準『WLTP』における、新燃費表示『WLTCモード』に差し替わっていくことになります。
まずはこの新・国際基準『WLTP』と新燃費表示『WLTCモード』について分かりやすく解説していきましょう。
カタログ燃費の新・国際基準『WLTP』とは?
こういった問題を解決するために、2014年3月に開催された国連欧州経済委員会自動車基準調和フォーラム(CNE-ECE/WP29)において、『WLTP』(Worldwide-harmonized Light vehicles Procedure)が世界統一技術規則(GTR)採択されました。
つまり、 『WLTP』とは燃費計測における試験サイクル・方法の総称となります。
新燃費表示『WLTCモード』とは?
そして“Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycles”の略称である『WLTC』とは、燃費測定の世界統一試験サイクルを意味します。
つまり、『WLTCモード』とは条件に応じて4つに区分される試験サイクルとその結果を指しています。
『JC08モード燃費』と『WLTCモード燃費』の違いとは?
従来の『JC08モード燃費』に変わり、2018年から国内でも『WLTCモード燃費』が新燃費基準となります。
実際にこの『JC08モード燃費』と『WLTCモード燃費』何が違うのか?これを分かりやすく解説していきます。
『WLTCモード』は4つの燃費表記
従来の『JC08モード』の燃費数値は1つだけでしたが、対する『WLTCモード』で計測される燃費は、想定される走行条件に応じて下記の「4つ」に区分されています。
- WLTCモード :市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード。
- 市街地モード :信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定。
- 郊外モード :信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定。
- 高速道路モード :高速道路等での走行を想定。
より厳格にコールドスタートの割合変更
燃費を測定する場合、エンジンが冷え切った状態(コールドスタート)orエンジンが温まった状態(ホットスタート)で結果が大きく異なってきます。
エンジンが冷えていればオイルも冷えているため抵抗が増し、燃料の噴射量も増えて燃費が悪くなる傾向にあります。
そのため、従来のJC08モードではコールドスタート25%、ホットスタート75%だった割合を、WLTCモードではコールドスタート100%の測定に変更。
つまり、エンジンが冷え切っている状態でもしっかりと燃費性能を発揮できなければ、低燃費であることを証明することが難しくなったのです。
車両重量の変更
試験車両の重量に関しても、『JC08モード』と『WLTCモード』で違いがあります。
JC08モードでは、車両重量に運転者などを想定した110kgを一律で加えるのみで、これでは実燃費と乖離ができてしまうと問題視されていました。
一方のWLTCモードの場合、運転者を想定した100kgに加えてそれ以外に積載可能な重量の一部を上積みしています。この重量は乗用車であれば15%、小型貨物車であれば28%で計算されます。
そのため、WLTCモードの方が試験時の重量は重くなっています。
シャシダイナモメーターの改良
燃費を測定する方式として、「シャシダイナモメーター」が使われています。これは、ローラーの上にクルマのタイヤを載せて運転する方法。
WLTCモードでは、シャシダイナモメーターの負荷を無段階で増やすことが可能になっています。
従来の方法では、オプションの有無により10kg重さが変わるだけで大きくカタログ燃費が悪化するようなことも珍しくありませんでした。しかし、今回の方法を採用することで今までのJC08モード以上に実際の走行抵抗に即した負荷がかけられるようになったのです。
『WLTCモード』燃費導入でよりリアルな実燃費に
新燃費表示『WLTCモード』の導入によって、より実際に走行したリアルな実燃費に近づいた表示になることが期待されます。
実際にWLTCモード燃費が採用されている、マツダ CX-8でJC08モード燃費の数値比較がこちら。
WLTCモード燃費であれば平均+3つのモードで燃費が表示されるため、より実走行に近い数値を確認することができ、実燃費とカタログ燃費に大きな開きがなくなることにより、ユーザーが実際に使用するシーンを想像することが容易になります。
『WLTCモード』はいつから導入されるのか?
これまでのJC09モードで表記されていたカタログ燃費に関しては、2017年夏以降からWLTCモード燃費が算定されたクルマから順次切り替わってきています。
そして今後、『2018年10月以降に販売される新型車』については、省エネ法に基づきWLTCモード燃費表示が義務付けられることになっており、トヨタ・ホンダ・日産・マツダなどすでに表示されている車種も。
また夏以降は、WLTCモード燃費の認可を取得した車種から3つの走行モード毎の燃費値が任意で可能になります。したがって、ユーザーは自身の走行環境に合わせて、リアルな燃費を知ることができるのです。
今年10月以降も当面はJC08モード燃費を併記していく予定ですが、2020年9月以降に関してはWLTCのみの審査結果の表示となるっていきます。
まとめ
2018年より取り入れられていく新燃費表示『WLTCモード』は、よりユーザーの使用シチュエーションごとの実燃費に近づけた表示と言えます。
一方で、従来の燃費表示と比較して複雑で分かりづらく慣れないと感じてしまうユーザーも出てくるかもしれません。
今後はメーカー側も『WLTCモード』と『JC08モード』の違いや特徴を、より分かりやすく伝えられることが購入検討中のユーザーにとっても判断基準の1つになると言えるでしょう。
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