新車であれば3年目に、中古車でも2年に1度は必ず受ける検査が「車検」です。
これから初めての車検が来る方や、実際に車検では何をするのか・何のために車検を受けるのか、実はよく分かっていないという人もいるのではないでしょうか。
ここでは、車検の基本から必要になる金額や必要書類、車検にかかる期間などを分かりやすくご紹介します。
目次
そもそも『車検』とは?
車検の正式名称は、「自動車検査登録」といいます。
乗っている車が安全に走るかどうかを検査し、車の所有権を法律的に認めてもらう制度。車検は一定期間ごとに受ける必要があり、新車で購入した場合は最初は3年目に、次は2年ごとに更新していきます。
次回いつ車検を受けるかは、車のフロントガラスの上部に貼られる車検シールに書かれています。これを表示することで、「この車はきちんと車検を通った車です」と確認できるのですね。
車検を受けると、この「車検シール」と「自動車検査証」が発行されます。
「自動車検査証」は車に載せておくことが法律で決まっていまるので、車検を受けて新しいものが届いたら必ずダッシュボードの中などにしまっておきましょう。
車検ではどんな検査をするのか?
車検では、その車が公道を走るために本当に安全であるかどうかを検査します。
- ウインカーはすべて正常に点灯するか
- クラクションはきちんと音が出るか
- タイヤに歪みなどの異常はないか
- ブレーキはサイドブレーキも含めて正常にかかるか
など、国が定める安全基準を満たしているかが検査のポイント。
もし一つでも不具合があった場合は、その箇所を整備しなおしてからもう一度検査を受けることになります。
車検を受けなかったら・車検切れで走るとどうなるのか?
車検は、車を持つ人なら必ず受けなければならないと法律で決まっています。
もし車検の切れた車に乗っていると、
- 違反点数:6点
- 30日間の免許停止
- 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
など重い罰則を受けることになるので、車検は必ず期限内に受けましょう。
もし車検が切れたらどうすればいいの?
車検の切れている車は公道を走ることができません。
車検を受けることでもう一度走行が可能になりますが、そのためにはレッカー車を使って車を移動させたり、仮ナンバーの取得も必要になります。
車検の費用は通常と変わりませんが、レッカー代など不要なお金がかかり罰則を受け捕まることになるため「バレなければいい…。」と安易な気持ちで考えず、車検はくれぐれも期限内に受けるようにしましょう。
車検の費用はいくらかかるのか?
車検にかかる費用は2種類ある
車検に必要な費用は主にこちらの2種類があります。
- 法定費用
- 車検基本料
法定費用は決まっていますが、車検基本料は車検を受けるところで変わってきます。まずは、かかる費用の内訳を見ていきましょう。
法定費用
法定費用の内訳にはこちらが含まれています。
- 自動車重量税
- 自賠責保険料
- 印紙代
車の種類や重量によって金額が決まっており、どこで車検を受けても変わりません。法定費用は車検を受けるときは必ず払う必要があります。
法定費用 | |||||
---|---|---|---|---|---|
軽自動車 | 普通車 | ||||
車両重量 | – | ~1,000kg | 1,001~1,500kg | 1,501~2,000kg | 2,001~2,500kg |
重量税 | 6,600円 | 16,400円 | 24,600円 | 32,800円 | 41,100円 |
自賠責保険料(24ヶ月) | 25,070円 | 25,830円 | |||
印紙代 | 1,100円 | ||||
車種例 | 例:タント | 例:フィット | 例:プリウス | 例:マークX | 例:アルファード |
合計 | 32,770円 | 43,330円 | 51,530円 | 59,730円 | 68,030円 |
ただし、エコカーや登録から13年経っている車は重量税が以下のように変わります。
重量税 | |||||
---|---|---|---|---|---|
軽自動車 | 普通車 | ||||
車両重量 | – | ~1,000kg | 1,001~1,500kg | 1,501~2,000kg | 2,001~2,500kg |
エコカー | 5,000円 | 10,000円 | 15,000円 | 20,000円 | 25,000円 |
13年経過車 | 7,600円 | 0,000円 | 30,000円 | 40,000円 | 50,000円 |
環境に優しいエコカーは優遇があり、逆に長い期間乗っている車は排ガス等で環境にあまり良くないため、少し高くなります。
車検基本料
車検基本料は、車の点検・整備と検査にかかるお金です。
法定費用と違い、車検を受けるお店によって金額は変わります。
点検や整備費用のほかにも、申請代行手数料や事務手数料などが含まれており、お店の儲けになる部分です。
整備の内容は、「車検を通ればいい」なら必要最低限の整備で済むので安くなり、逆に「事故や故障の予防も兼ねてしっかり整備したい」場合は交換する部品などが多くなる分、金額も高くなります。
どこまで整備してもらうかは人それぞれですが、大切なのはその車で安全に公道を走れることです。
何とか車検をパスできたとしても、すぐに不具合が出てしまえば修理にまたお金がかかります。必要だと思うところはしっかり整備してもらうのが、より安全に、より安心して走るために欠かせない心構えだと思いましょう。
車の状態を確認し、エンジンオイルやブレーキパッドなどの交換が必要であれば追加の料金が必要になるので、いくらかかるかは最初に点検してもらったときに見積もりをお願いするのが良いですね。
車検はどこで受けられるのか?
ディーラー
車を買ったお店(車のメーカー)で受けるのがディーラー車検です。
その車を販売しているところなので、整備に関してはしっかりした技術があり、部品なども純正品が揃っているので一番安心して車検を任せられるともいえます。
デメリットは、工賃や手数料などがほかのお店に比べて割高なこと。安く済ませたい人には向いていません。
ですが、整備に保証がついたり代車の貸し出しが無料であったりするメーカーが多く、サービス面でもしっかりしているのが良い点でもあります。
車検専門店
現在は、車検を専門で扱うフランチャイズ店などが増えています。
車検専門店で受けるメリットは、何より料金が明確であること。
車検基本料を安く設定しているところが多く、割引キャンペーンなども行っているのでお得に車検を受けることができます。
その反面、車検を通すために必要な整備しか行わないので、ディーラーのようなきめ細かいメンテナンスは期待できません。
また、車の持ち込みが基本であったり代車の貸し出しは有料であったりと、手間がかかることがあります。
民間の整備工場
「○○モータース」や「○○整備工場」のように、民間がやっている整備工場でも車検は受けられます。
指定工場と認証工場の2種類があり、その場で車検を行えるのは指定工場だけ。認証工場では点検と整備しか行えず、検査はほかの車検場に持ち込むことになります。
幅広い車種に対応しており車検基本料もディーラーより安いところが多いですが、工場よって品質や技術にバラつきがあり、最新の電気系統には弱いなどのデメリットも。
ですが、長く運営している整備工場にはベテランの整備士がいたり、メンテナンスもより柔軟に行ってもらえたりなど、民間ならではの良さもあります。
カー用品店
車のアクセサリーやタイヤなどを扱う大手のカー用品店も、近年は車検に力を入れています。
オイルやパーツなどが豊富に揃っているので、自分の好きなものがあれば指定することもでき、また車検基本料も安く設定しているところが多いのが良いですね。
土日も開いている店舗がほとんどで、買い物のついでに車検を受けるような気軽さでお願いできるのもメリットです。
ただし、車検を専門に扱っているわけではないので、技術や整備の質はディーラーにはやや劣ることもあります。代車の用意がない店舗もあるので、必要なときはあらかじめお店に確認しましょう。
ガソリンスタンド
町を走ればどこにでもあるガソリンスタンドも、車検を扱うところが増えました。
近所のガソリンスタンドに給油に行くついでに車検を受けられたり、扱う車種も幅広かったりと、手軽に済ませられるのがメリットです。
また、車検基本料も安く設定しているところが多く、24時間営業のお店なら忙しいときでも車を持って行きやすい点も良いですね。
一方で、ガソリンスタンドにいる整備士によって品質には差があったり、設備の面でも十分でなかったりというデメリットもあるので、車検を考えるならお店の良さをしっかり見極める必要があります。
ユーザー車検
ユーザー車検とは、その名の通り車の所有者が自分で陸運事務所に車を持ち込み、検査を受ける車検のことです。
法定費用だけで済むので一番安上がりではありますが、点検と整備も自分で行う必要があり、車に詳しくない人には難しいのが現実。不合格になれば何度も持ち込まなければいけません。
また、土日は陸運事務所が空いていないので、平日行ける人しか受けられないというデメリットもあります。
ユーザー車検代行業者
上記のユーザー車検を代わりに行ってくれるのが、ユーザー車検代行業者。
ユーザー車検を受けたいけど平日は仕事で動けない人などのために、代わりに車を陸運事務所に持っていって検査を受けてくれます。ユーザー車検ができる人なら、法定費用と業者に払うお金だけで済むのでお得です。
ですが、点検や整備までは行えないので気をつけましょう。
車検の費用はどうやって払うのか?
車検にかかる費用の支払いは、受ける場所によって変わってきます。
民間の整備工場では、金額の決まっている法定費用だけ前払いで車検基本料は後払いというところもあれば、終わってからまとめて現金で支払うというところもあるでしょう。
ディーラーや大手のカー用品店では分割払いができたり、ボーナス一括払いも選択できるなど、後で支払えるところも多くあります。
また、最近では車検専門店などでもクレジットカードを扱うお店が増えてきました。
もし手元にお金がない場合でも、まずはお願いしたいお店にはどんな支払い方法があるかを確認し、前もって相談しておくのがベターです。
車検はいつから受けられるのか?
車検は、自動車検査証や車検シールに書いてある有効期限の1ヶ月前から受けることができます。
「早く受けてしまったら、次の車検の日も早まるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、大丈夫です。
例えば、車検の有効期限が3月20日だとして、1ヶ月前の2月21日に受けたとしても、次の車検の有効期限は2年後の3月20日になります。
ギリギリの3月19日でもOKですが、気をつけたいのは必ず有効期限内に車検を受けないと、車検切れの車では公道を走れなくなることです。
車検をお願いするお店によっては予約から実勢に受ける日まで日数が必要だったり、混雑すれば希望する日に受けられないこともあるので、有効期限を頭に入れておき、近くなったら早めに予約しましょう。
車検に必要なものとは?
車検をお店で受ける場合
車検をお店にお願いする場合は、以下の書類が必要です。
車検に必要な書類 |
---|
1.自動車検査証 |
2.自動車損害賠償責任保険証書 |
3.自動車税納税証明書(継続検査用) |
3の「自動車納税証明書」は、以下の条件を満たしている場合に省略できます
- 自動車税を滞納していない
- 自動車税を納付してから4週間は経過している
- 富山県・福井県・長野県・岐阜県・三重県・大阪府・兵庫県・鳥取県・岡山県・愛媛県・佐賀県・鹿児島県のナンバーではない(引っ越しや売買などで年度内に該当の府県ナンバーだったこともない)
ユーザー車検を受ける場合
ユーザー車検を受ける場合に必要な書類は、以下の通りです。
車検に必要な書類 |
---|
1.自動車検査証 |
2.自動車損害賠償責任保険証書(新旧2枚が必要) |
3.自動車税納税証明書(継続検査用) |
4.自動車検査票 |
5.自動車重量税納付書 |
6.継続検査申請書 |
7.定期点検整備記録簿 |
3の「自動車納税証明書」は、車検をお店で受ける場合のときと同様に条件を満たしていれば省略が可能です。
4~6は車検当日までに用意できれば大丈夫です。陸運局にそろっています。
2の「自動車損害賠償責任保険証明書」は、車検を受ける前までに新たに保険期間の継続手続きを行う必要があります(車検当日、運輸支局周辺にある保険代理店に依頼して加入する事も可能)。
まとめ
今回は、車検について基本的な情報をご紹介しましたが、まとめると以下の通りです。
- 車検は車の安全を確認し、所有権を法的に認めるための制度
- 新車なら3年目、次は2年ごとに受ける
- 法定費用と車検基本料を支払う
- 受ける方法はディーラーからユーザー車検までさまざま
- 有効期限の1ヶ月前から受けられる
車を持つ人なら2年から3年ごとに、必ず受けなければいけないのが車検です。
もし車検切れの車に乗っていた場合は罰則もあるので、 車検証に載っている有効期限にはくれぐれも注意しましょう。
今は、ディーラーや整備工場だけでなく、車検の専門店やガソリンスタンドなどでも気軽に受けられるようになりました。支払い方法などあらかじめ確認し、自分に合ったところにお願いするといいですね。
車検は有効期限の1ヶ月前から受けられますが、早く済ませたからといって次の期限が短くなることはありません。期限内にしっかり受けられるように、車検が近いなと思ったら早めにお願いするお店など検討してみて下さいね。
[myphp file=’syaken-code’]